医療広告規制について
今回はホームページ制作に関係する医療広告規制について、改めて概要をご説明させていただければと存じます。
従来、クリニックや病院のホームページは医療法上の広告規制から除外されており、強制力のないガイドラインのもと自主的な取り組みをしておりましたが、平成30年(2018年)6月の医療法改正に伴い、医療機関のホームページも広告規制の対象となりました。
下記が、今一度ご確認いただきたい主な点になります。
◇医療広告ガイドラインとは
医療広告ガイドラインとは医療法に基づいた医療機関の広告に関するガイドラインです。正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」といいます。
今までの基本的な考え方は踏襲しつつ、「患者誘引するための手段の表示」を拡大し、「正確な情報を提供し、その選択を知る観点から、医療に関する適切な選択が阻害される恐れがない場合については、幅広い事項の広告を認める」というものです。
◇規制の対象範囲
医業・歯業の病院とクリニックおよび助産所の広告が規制の対象となります。
尚、SNSについては下記のようなQ&Aの記載があります。
「Q:フェイスブックやツイッターといったSNSで医療機関の治療等の内容又は効果に関する感想を述べた場合は、広告に該当するのでしょうか。
A : 個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しません。」
◇医療広告の定義
以下の2つの条件が満たされる場合、医療法上の医療広告となります。
(1)誘引性
患者の受診等を誘引する意図がある場合は誘引性が生じます。「これは広告ではありません」と書いても、実質的に誘引する意図があれば誘引性ありと判断されます。
(2)特定性
病院やクリニックの名前・電話番号・ホームページアドレスなどの記載があり、医療機関を特定可能な場合は特定性が生じます。
◇ホームページで禁止されている広告について
1. 虚偽広告
例)「絶対安全な手術」「必ず治る」などは、医学的にありえないことは、虚偽広告となります。
2. 比較優良広告
「日本一」「No,1」「最高」などの表現や、他医院と比較して優れているといった表現は使用できません。
3. 誇大広告
提供する医療の内容や施設について、事実よりも良いものであると印象付けるような広告は禁止されています。「再生医療」などの表現は、この項目に該当するため使用できません。
4. 患者の体験談
医療機関が治療内容について、患者自身の体験談や家族からの伝聞に基づく体験談や医療従事者の主観によるものなど、客観的な根拠のない広告は禁止されています。
5. 説明が不十分な術前術後写真
症例写真(ビフォー・アフターの写真)などの術前術後の写真は、治療結果は個々に異なることから、加工したり、副作用や治療期間、治療費等の注意事項を詳細に記載しないと誤認される恐れがあるため掲載できません。
6. 公序良俗に反する内容
わいせつな画像、もしくは残虐な写真・映像または差別を助長する表現等の広告は禁止です。
7. その他
・品位を損ねる内容の広告(費用を強調した広告、キャンペーンなど)
・他法令または他法令に関する広告ガイドラインに反する内容の広告
・未承認医薬品、医療用医薬品に関する広告等の医療に関する広告(薬事法に抵触するため)
また後述の「限定解除」という要件を満たせば広告可能な表現範囲が広がります。
◇限定解除で掲載できる内容
ホームページは以下の4項目すべてを満たした場合のみ、広告可能事項が限定解除されます。
1.ホームページなど患者が能動的に見る広告であること
2.電話番号など問い合わせ先を書くこと
3.自由診療の内容・費用(上限額含む)を書くこと
4.自由診療のリスク・副作用を書くこと
そのため、症例写真や自費診療については、治療期間・回数、費用など条件を満たせばホームページに掲載をすることが可能になります。
◇違反すると罰則や行政処分のおそれ
医療広告ガイドライン違反のホームページを公開していると、厚労省委託機関や保健所から改善要請の通知が届くことがあります。
保健所からは行政指導や中止命令などが段階的に出され、広告の中止や是正の命令に従わない場合は、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金や悪質な場合はクリニックの開設許可の取り消しなど非常に重い処分を受ける可能性があります。
最後に
貴院のホームページの内容が医療広告規制に抵触する可能性があるかなど、疑問がございましたら、当社までお問合せください。
些細な内容でも、ご質問や疑問点などございましたら、お気軽にお問合せくださいませ。