今回は「メール設定のPOPとIMAPとは？」というテーマにてご案内いたします。

弊社が発行しているメールに関わらず、契約しているプロバイダが発行しているメールアドレスや、Gmail、Yahoo!メール等のフリーアドレスであっても、設定を行う上で避けて通れないのが、「POP」「IMAP」というメールの受信設定になります。
メールの受信設定は、それぞれの形式に応じてメールサーバーに届いたメールを、どのように処理するのかを決める設定です。

なんとなく見たことがある気はするけれど、実際に「POP」と「IMAP」の違いがよくわからない、という方もいらっしゃるかと存じますので、今回の記事ではこの「POP」と「IMAP」のそれぞれの簡単な仕様と、どちらを使用した方が良いのか、よくあるトラブルについてご案内いたします。

POPとIMAPの仕様について

まず初めに、POPの仕様についてご説明いたします。

POPとは

「Post Office Protocol（ポストオフィスプロトコル）」の略称で、メールソフトによっては「POP3」として表記されている事も多くございます。
この「3」の部分については、「POPのバージョン3」という事を表しており、2022年現在ではこのPOP3が主流となっております。
※当記事では以降、POPで統一いたします。

POPを設定した時の受信の流れについて

POPにて受信設定をした場合、以下のような流れで皆様がメールを受信しています。

POPの設定は「メールサーバーにメールを残さず、PCやスマートフォンの端末に保存する」設定となります。

POPのメリット

・各端末にメールを保存し、受信したメールは一定期間以降削除される為、サーバーが一杯になりにくい。（サーバーが一杯になってメールを受信できないトラブルが起きにくい）
・複数端末で同一メールアドレスを使用する際に、それぞれの端末に保存されるため、誤って1つの端末でメールを削除してしまった場合でも、他の端末で閲覧できる可能性がある。
・メールデータの保管は端末の保存領域に依存する為、ハードディスク等を用意すれば、過去のメール等を消さずに保存しておける。
・一度受信したメールはオフライン環境でも閲覧できる（但しIMAPでもメールソフトによっては閲覧できるソフトもある）。

POPのデメリット

・端末の保存容量に影響されるため、端末内の保存領域が一杯の際にはメールが受信できない。
・他の端末にてメールを削除した場合でも、違う端末では削除したメールが受信できる。

次にIMAPの仕様についてご説明いたします。

IMAPとは

「Internet Message Access Protocol（インターネット・メッセージ・アクセス・プロトコル）」の略称です。メールソフトによっては「IMAP4」として表記されている場合もございます。前述のPOPと同様に「4」の部分はバージョンを表しており、2022年現在ではIMAP4が主流となっております。
※以降、IMAPで統一いたします。

IMAPを設定した場合の受信の流れについて

IMAPの形式にて受信設定をした場合、以下のような流れでメールを受信（閲覧）しています。

※ご使用されるメールソフトによっては、一部情報を端末に保存する場合もございますが、基本的な仕様としてご認識いただければ幸いです。

IMAPのメリット

・メールの管理がサーバー上にて行われ、開封状態等が共有されるため、複数端末を使用してメールを閲覧する際に管理しやすい。
・メールのデータを端末に保存しないため、端末の保存容量に影響されない。

IMAPのデメリット

・メールデータがサーバー上から自動では消えないため、受信したまま放置するとメールサーバーが一杯になり、メールを受信できないトラブルが発生する場合がある。
・メールを削除した場合、メールサーバー上からデータが削除されるため、復元が難しい。

仕様については以上となります。

よくある例えとしては、POPは「郵便受け（メールサーバー）に届いた手紙（メール）を家（各端末）に保管しておく」設定、IMAPは「郵便受け（メールサーバー）に届いた手紙（メール）をその場で読んで郵便受け（メールサーバー）に保管しておく」設定となります。

どちらを使用した方がよいのか

本来であればPOPとIMAPのどちらが良い、どちらが悪い、という事は無く、そのメールアドレスをどのような用途で、誰がお使いになるのかで推奨する設定は変わってまいりますが、弊社にて発行しているメールアドレスについてはPOPを推奨しております。
※その為、メールアドレスの設定をお送りさせていただく際は、原則POPでの設定値をご案内しております。

その理由としましては、弊社で発行しているメールアドレスは主に医院のオフィシャルなメールアドレスとして使用されることが多くございます為、クリニックを例にいたしますと、院長が使用されている端末や、受付にて使用されている端末等、複数の端末で使用されることが多く、それぞれにおいて必要なメール等が異なる場合があるため、各端末に保存しておけるPOPの方が望ましいと考えております。

※IMAPの場合、どちらかの端末にて閲覧したメールが開封済みになり見逃す事や、片方の端末で不要とされ削除されたメールは、もう一つの端末でも閲覧できなくなるため。
また、前述の「POPのメリット」でご案内している通り、POPは端末の保存領域に依存する為、仮に院長の端末の容量が一杯になってしまい、メールを受信できなくなったとしても、受付の端末の方では受信ができる状態であれば、メールが全く確認できない、という状態は回避できます。

また、そのメールアドレスが院長のみご使用しているメールアドレスであったとしても、弊社で発行しているメールアドレスのサーバー容量は、基本500MBとなりますため、メールを頻繁に受信される場合には、定期的にメールを削除していただく、必要なメールは別途端末にバックアップとして保存していただく等の対処をしていただかないとサーバーの容量が一杯になり、メールが全く受信できないといったトラブルが発生する為に、POPを推奨しております。

よくあるトラブルについて

最後に、弊社に寄せられるメールの受信に関するトラブルについて、事例をご紹介いたします。
今後のメールトラブルの際に、当事例がお役に立ちましたら幸甚に存じます。

メールを受信しなくなった

①該当のメールアドレスを一つの端末で使用している場合

→メールの受信設定が、IMAPになっており、メールサーバーが一杯になっている可能性がございます。
メールの設定をご確認いただき、IMAPにて設定されている事を確認されましたら、不要なメールを削除いただければ受信できるようになりますのでお試しください。

POP設定の場合には、端末の保存領域が不足している、またはメールアドレスの設定において「メールサーバーから削除する」等のという設定が外れていてサーバーの容量が一杯になっている可能性がございます。
前者の場合は、端末の容量を確保していただければ受信できるようになります。
後者の場合は、「メールサーバーから削除する」等の設定をしていただき、さらに「削除済みアイテム」から「削除されたらサーバーから削除」の設定をオンにしていただいた上で、メールを削除いただければ、受信できるようになるかと存じます。

②該当のメールアドレスを複数の端末で使用している場合

→複数の端末で異なる設定（PCではPOPだがスマートフォンではIMAP等）の場合、IMAPの「メールサーバーからメールを削除しない」という仕様が優先され、メールがサーバー上に溜まり続けている場合がございます。
ご利用いただいている各端末の設定をご確認いただき、IMAP形式にて登録されている端末が見つかりましたら、その端末よりメールを削除していただければ再度受信できるようになるかと存じます。
全ての端末にてPOPの場合には、各端末の容量を確保していただきますか、全ての端末において、「メールサーバーから削除する」等の設定が外れていないかをご確認ください。 その上で前端末において「メールサーバーから削除する」等の設定をしていただき、さらに「削除済みアイテム」から「削除されたらサーバーから削除」等の設定をオンにしていただき、メールの削除をお試しください。

IMAPとかPOPを設定した覚えがない、受信設定を変更したい

→最近では、PCとスマートフォン等、複数端末において同じメールアドレスを使用する事が増え、メールソフトの仕様によっては自動的にIMAPにて設定される事がございます。
残念ながら受信設定を後から変更することはできないため、変更されたい場合には必要なメールのバックアップをお取りいただいた上で、一度アカウント情報を削除し、再度メールアドレスの設定をお試しください。
※バックアップの取得方法については、ご利用の端末・ご使用のメールソフトによって異なり、弊社でも全てを把握しておりませんので、恐れ入りますが、各端末のヘルプデスクや、メールソフトのヘルプをご確認ください。

〇〇を使用しているが、POPの設定ができない

→ご利用の端末、ご利用のメールソフトによってはPOP・IMAPのどちらかしか選択できない場合がございます。（GmailやYahoo！メール等のフリーメールにてその傾向がございます。）
各メールサービスの仕様については、恐れ入りますが、各メールサービスのヘルプデスクにお問い合わせください。